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インタビュー

風通しをよくするSNSの力 情報発信で開かれた施設に

社会福祉法人クローバー会

目次

SNS発信から生まれる風通しのよさ
季節行事やレクリエーション、職員の働く姿など何気ない一コマを撮影し、ユーモラスなコメントとともにSNSに投稿する。第2クローバー学園では日常的な光景です。広報担当者が中心となり、Instagram、X、Facebook、TikTokを自在に使い分けます。 「支援する職員が元気なら、ご利用者も元気で明るく応えてくれます。みんなの元気をSNSで発信して、ガラス張りのような明るく風通しのよい職場をと考えているんです」と話すのは伊東朝美施設長です。それぞれの部署で虐待防止に取り組む内村係長、利支援員(SNS広報担当)、本吉リーダー支援員、浅川リーダー支援員も同席し、施設全体の取組を紹介していただきました。 平成14年に開所した第2クローバー学園は現在、障害者支援施設として生活介護70名・施設入所支援40名を支えています。「閉鎖的になりがちな入所施設において、自分たちの取組を外に発信するのは施設内の環境をよくするためにも大切だと思っているんです」と広報担当の利支援員は話します。以前から情報発信には取り組んでいましたが、千葉県の「介護職の理解促進・魅力発信事業」のSNS運用研修を受講することで取組が加速しました。 漫然と投稿するのではなく「誰に向けて」「何を目的に」発信するのかというターゲティングがSNS運用には欠かせません。第2クローバー学園では、保護者に施設の様子を伝える投稿、人材確保を意識した投稿、地域の方向けのパン販売の投稿というように、目的を意識しながらバランスをとっています。 親しみやすい投稿内容に、フォロワーは伸びています。「皆さん、福祉っていうとすごく大変なお仕事だと思いがちですけれど、現場は全然暗くありません。職員が工夫している姿や、ご利用者も実はこんなことができるんですよっていう姿、みんながそれぞれのところで頑張っている姿を伝えています」と伊東施設長は笑います。 こまめな更新には話題探しが不可欠ですが、SNS発信の意義が浸透した結果、広報担当ではない職員からも写真や動画が集まるようになりました。積極的な発信に挑戦する、オープンな職場環境が生まれています。
どんなときも「相手の立場に立つ」姿勢
法人理念として掲げるのは「私たちは、利用者さんの心に寄り添い、安心して充実した自分らしい生活が送れるようサポートします」という言葉です。どんなに障がいが重くても“自分らしさ”があることを当然の前提とし、それを尊重する姿勢が柱です。 先に開所したクローバー学園に比べ、第2クローバー学園は広い土地に恵まれたため、畑仕事や園芸、運動、パンづくり、手芸など多彩な日中活動ができる場となっています。重度の障がい者もいますが、「狭い意味での“作業”だけではなく、皆さんがそれぞれ自分の時間をきちんと過ごせることは、働くことと同じくらい大事だと考えています。身体が動く限り、散歩でも運動でも活き活きと過ごせるプログラムを考えています」と伊東施設長は話します。 グループホームの居室はご利用者の好きな小物で個性豊かに飾られ、職員側の管理の都合で制限されることはありません。休日には「買い物に行きたい」「ラーメンを食べに行きたい」といった一人ひとりの要望に柔軟に応えられる体制となっています。「その方が望むことを、できる限り叶えられる生活が目標」だといいます。背景には伊東施設長が日頃から口にする「相手のことを思って行動しよう」という思想があります。職員同士でも支援の場でも、相手の立場に立つことができれば強い言葉は出ないはずだという考えからです。 それを象徴するような研修があります。健康上の理由から一度に十錠以上の薬を服用しなければならないご利用者がいました。新人職員が服薬確認をしているのを見かけた浅川リーダー支援員は、その対応にどことなく圧力があるのを感じました。と同時に、自分も普段から何度も飲み込みを確認したり、まだ服用途中でも立ち上がったりと、急かすような態度をとっていたことにハッとしたのです。後の職員研修で行ったのは、薬に見立てた十粒以上のラムネを飲み込むロールプレイです。ご利用者の気持ちを、職員全員が改めて実感したといいます。
支え合うことをめざす虐待防止委員会
相手の身になり、支え合うことをめざす文化は、日々の虐待防止活動にも現れています。毎月の虐待防止委員会では、職員から報告が上がったヒヤリハット事例の精査や、身体拘束事例の検討を行います。不適切支援が確認されたときは、一方的な指導ではなくていねいな振り返り面談を行います。同じ不適切支援でもスキルや知識が不足していたためなのか、アンガーマネジメントのような感情コントロールの問題なのか、原因によって対処法が異なるためです。 無記名で行われる年2回のセルフチェックリストは、自分では十分と思っている支援を見つめ直す一つのツールになっています。委員会で得られた知見は各部署のリーダーにフィードバックされ、部署ごとの虐待防止会議で活用されます。模造紙に課題と対応を洗い出すようなグループワークも積極的に行い、翌月評価してPDCAサイクルを回します。 当面の大きな目標は、不適切支援を見かけたときに職員同士が躊躇なく声をかけられる風土づくりです。よくない対応だと思っても、それを率直に同僚や先輩に伝えることは簡単ではありません。そこで気になる支援を指摘する際の「イエローカード」を採り入れたり、悪い支援だけでなくいい支援に着目する魅力発見の取組をしたりしました。 注意や指導は相手を否定する行為ではなく、「虐待を防ぎ、結果的にその職員を守る行動だ」という意識の共有が鍵だと委員会では考えています。人は誰しも感情的になるものだという視点を前提に、不穏な空気を感じたらすぐに介入するなど、互いをフォローする行動を心がけています。特に新入職員については、何かあったときにすぐ対応を交代できるような仕組みづくり、空間づくりに力を入れています。 「施設をとにかく明るく、互いに補えるような関係をいっぱいつくろうと常に考えています。日々の行いを振り返りながら、みんなで話し合ってコミュニケーションを豊かにしていくことが、結果的に“ご利用者第一”につながると考えて取り組んでいます」と伊東施設長は結びました。
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